うさぎの消化のしくみ 盲腸便の大切さがよくわかる!

たけちよです。

うさぎさんはウンチ(盲腸便)を食べる、うさぎ飼いさんにとってもはや当たり前のことかもしれません。

実は盲腸便はウサギさんにとって不足しそうな栄養成分が含まれていて、エネルギーの源となっている重要な消火システムの一部なのです。

今日は、ウサギさんの消化の仕組みについての学びを通して、いかに盲腸便が大切な存在であるかを知ることができる記事。うちのうさについてさらに知りたい方は、ぜひ読み進めてみてください。

目次

うさぎの消化はかなり独特

盲腸便の大切さを学ぶうえで、消化の仕組みについて知る必要があるので少々お付き合いください。

うさぎがペレットや牧草を食べると、口腔内から胃、十二指腸、空腸、回腸へ進みます。

空腸では、可消化物、すなわちタンパク質や糖、などを吸収します。

回腸を通過すると、回腸と盲腸の間にある正円小嚢という少し膨らんだ部分を通ります。

正円小嚢はウサギ独特の構造です。

回腸から先は、結腸に行くか、盲腸に行くかの分岐です。

食渣は2回の分離を受ける

この正円小嚢は、発酵可能な小型の粒子、消化できる繊維質と、発酵できない繊維質を分けます。発酵できるものはは盲腸へ、発酵できないものは結腸へ進みます。

結腸側に進んだものは、近位結腸でさらに分離を受けます。

結腸側に進んだ内容物のうち、荒い繊維、大きめの粒子はそのまま肛門に向かって進んでいき、硬便(食べないコロコロうんち)となって排泄されます。

液体成分と小さい粒子は結腸の膨らんだところ(結腸膨起)に沿って盲腸へ逆流します。

ウサギさんが盲腸便を食べる時間(多くの子は昼などリラックスしている時間が多い印象。だいたいその時間は決まっています。)になると、盲腸で作られた盲腸便が結腸側に流れてきて、形が形成されます。

結腸のある部分で、粘液成分をまとい、排泄されます。

それをウサギが噛まずに飲み込みます。

肛門から直接食べるので、あまり見ることはありません。

ちなみに、盲腸便が出るときは盲腸便のみ、硬便の時は硬便のみとわりとしっかり切り替えがあります。その切り替えのタイミングでは、小さめの硬便が出てくることがあります。↓こんなイメージ

盲腸便はどこへ向かうのか?

当たり前ですが、口から入った盲腸便は胃へ向かいます。

うさぎさんの胃には、胃盲嚢というゆるやかなくぼみがあり、そこに盲腸便はたまります。

盲腸便はゼリー(粘液成分)に包まれているため、盲腸便の中の腸内細菌は胃液から守られているので、胃で発酵します。

発酵するとガスが出ます。そのガスは揮発性脂肪酸=VFAというもので、栄養満点なガスなのです。

(うっ滞の時や消化管の調子が悪いときにたまっているガスとは異なります。)

VFAはなんと胃の壁から直接血液中へ吸収されます。胃には血流が豊富。(ちなみに牛もVFAをエネルギーの主体にしています)

このVFAは驚くことに、ウサギの活動エネルギーの(所説あって本にもよりますが)最大70%を供給してくれています。

盲腸便はそれだけでなく、細菌がつくったビタミンKを豊富に含んでいて、小腸で吸収されます。

胃での発酵によりVFAを存分に作って、おうさぎ様にビタミンKも献上し、お役目を終えたかと思う盲腸便内の腸内細菌たち。

この子(愛うさ)のために、ありがとうございましたぁと、ねぎらいの言葉をかけたいところですが、実はまだ最後の役目が残っています。

なんと盲腸便の中の細菌たちは胃で発酵したのちその身自体を胃酸で溶かされ、小腸へ行くと良質なタンパク源としてウサギさんの体に献上してくれます。

なんと献身的な、、、

”良質な”という言葉にもカギがある。

タンパク質は、アミノ酸が鎖状につながったもの。アミノ酸は全部で20種類。

良質なタンパク質とは、なるべく多くの種類のアミノ酸から構成されていること。

うさぎさんが生きていくためには、20種類のアミノ酸のうち、体内で合成できない必須アミノ酸を食べ物からとる必要があります。

パーツとなるアミノ酸が一つでも足りていないとタンパク質は作れません。

生命活動をしている細菌にはすべてのアミノ酸が含まれています。

そのため、細菌をまるごと吸収しているウサギさんは、アミノ酸が不足することはないのです。

わかりやすくいうと、うさぎがビーズ(アミノ酸)を使ってアクセサリー(タンパク質)を作っているとして、全種類のビーズセットをずっとプレゼントされているようなイメージ。ビーズがなくなることがないのです。

なんとなくわかりましたか?

犬や猫だと、タンパク質(アミノ酸)不足でいろいろな障害が出ることがあるのですが、(最近のフードはまず大丈夫。怖いのはむしろ手作り食らしいとか?)

ウサギさんはアミノ酸をほとんど全種類持っている腸内細菌のおかげで、アミノ酸の不足がほとんどないのです。

細菌を蛋白源にしているのは牛も似ています。仕組みはかなり異なりますがね。

(ウシはウンコはたべませんが、胃が4つに分かれています。1つ目の胃は胃酸がないので細菌がうじゃうじゃ、微生物もすんでいます。1つ目の胃で食べ物の状態から一気に発酵させます。4つ目の胃に胃酸が出ているので、そこで細菌が分解されてアミノ酸となり、小腸で吸収されます)

まとめ

ウサギさんの消化の仕組みはとっても複雑!

獣医師である私も学生の頃は、5回くらい読んでやっと理解できました。

2回もたべものが分離されるところとか、結腸で逆流することとか、、、なかなか私たち雑食系動物にはなじみがないですもんね。

ただ、今回お伝えしたいことは、盲腸便が、

・胃で発酵してウサギさんの重要なエネルギー源となっていること

・中に含まれる細菌の死がいが重要なタンパク源になっていること

・栄養素が豊富であること

です!

愛うさが盲腸便を食べる姿の印象も変わるかもしれませんね?!

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この記事を書いた人

たけちよのアバター たけちよ うさぎ系獣医師

〇エキゾチック専門獣医

うさぎの道をおしえてくれたのは歴代うさぎの白雪。今は3匹のうさぎたち(もふ、ゆきひめ、ちゃちゃまる)と暮らしています。
「うさぎの知識や経験を生かして、幸せなうさぎライフを応援する」ことをVisionに日々生きている、うさぎオタクです。
兎年に生まれ、兎年に獣医師になりました

自分たちより先に旅立つ小さなモフモフに、最期のときにはありがとうって言える付き合い方を、うさ飼い全員で目指したい。

飼い主さんのお話を聞くのが大好きです!ちょっとした疑問や気が付いたことなど遠慮せずどうぞ。

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