ウサギさんはとても怪我をしやすい動物。
特にこれといったきっかけがなくても、気がついたら怪我をしていた、、、なんてこともよくある話。
「ウサギが怪我したかも?」「足をつけないけど大丈夫?」そんな不安を持つ飼い主さんへ。この記事ではウサギに多いケガの症状や対処法を、獣医師がわかりやすく解説します。
ウサギに多いケガ一覧
- 骨折・脱臼
- ジャンプや滑りやすい床での転倒などで起こりやすいケガです。
- 爪の折れ
- カーペットや布に引っかけてしまうことで、爪が折れたり抜けたりすることがあります。出血には少し驚きますが、その後に大きな問題になることは少ないです。
- 背骨の損傷(脊椎損傷)
- 抱っこからの落下や暴れて無理な姿勢になった際に起こることがあります。非常に重篤です。
- 皮膚の裂傷・切り傷
- 他のウサギとのケンカやしっかりめのブラッシングなどで生じることがあります。
- 耳の裂傷
- ケンカや引っかきなどで耳が裂けてしまうことがあります。うさぎの耳は出血しやすく、注意が必要です。
以下ではウサギによく見られる「骨折・脱臼・出血」について、それぞれ解説していきます。
Contents
ウサギの四肢の骨折

骨折とは
ウサギの骨はとても脆いですが、軽い衝撃でも折れてしまうことがあります。四肢の骨折では、後肢の骨折が多いです(前肢の2倍以上)
骨折が起こりやすい状況
- 抱っこ中に暴れて落下
- 滑りやすい床でジャンプして着地に失敗
- ケージや家具の隙間に足を挟む etc…
ずっとケージの中にいるはずなのに、気が付いたらいつの間にか骨折していたということもよくあります。ここだけの話、ケージ内にロフトがある子が多いような気がします
症状
以下のような症状があります。
- 足を地面につけない、動かさない
- 強く痛がる、触ると嫌がる
- 足や背中の形が不自然
動くのをいやがったり、食欲が落ちてしまうことも多いですが、通常はその日のうちに回復することがほとんどです。
自宅でできる対処法
動かさずに安静に。キャリーの中にタオルなどを敷いて揺れを防ぐことが大切です。
病院での検査・治療
基本的にレントゲンで骨折を確認します。
骨折の治療は、どこを骨折しているかにもよりますが、バンテージで固定したり、ピンを入れる手術などを行うことがあります。
骨折の治療はなるべく早く開始したほうがきちんと治ることが多いです。しかし、実際は骨折前と全く同じに戻ることは少ないです。
また、部位によっては積極的な処置はせず、安静にすることだけで経過を見ることがあります。
いずれの骨折もウサギさんにとっては痛みがあるため、痛み止めのおくすりを飲んでもらうことがほとんどです。
ウサギの脱臼

脱臼とは
脱臼は骨と骨をつなぐ関節が外れてしまった状態です。
関節部分のケガで、骨折よりも軽く見られがちですが、やはり痛みや機能障害を伴います。
脱臼が起こりやすい状況
- 高い所から飛び降りる
- 滑って足をひねる
- つめや足がカーペットなどに引っかかる etc…
指骨、手首、足首、肘関節、膝関節、大腿骨などの脱臼が見られます。
症状
骨折とおなじく、脱臼した部位を中心に動揺したり(ぶらぶらになる)腫れたりします。
- 足を地面につけない、挙げている
- 強く痛がる、触ると嫌がる
放置した場合は、時間の経過とともに足をつくようになり、いつも通り歩くようになることも。
しかし、正常な位置とは異なるところで固まってしまうことも多いです。
自宅でできる対処法
骨折とも共通しますが、動かさずに安静に。キャリーの中にタオルなどを敷いて揺れを防ぐことが大切です。
病院での検査・治療
身体検査で部位を確認し、レントゲンで脱臼を確認します。
麻酔をかけて脱臼をはめ込んで、バンテージ(必要であれば)で固定して、安静にしてもらいます。
脱臼してから数日経ってしまっていると、関節のくぼみが炎症で埋まってきてしまい、治しにくくなってきてしまいます。
骨折同様、痛み止めは飲んでもらうことがほとんどです。
ウサギの出血
ここでは、外傷としては比較的よくみられる、爪の折れについて解説していきます。
爪が折れて出血
ウサギのケガで意外と多いのが「爪の折れによる出血」です。
ウサギの爪は細くて折れやすく、特にカーペットやタオル、布製のマットなどに爪が引っかかることで、根本からポキッと折れてしまうことがあります。
折れた直後は「けっこう血が出ていてびっくりした」という飼い主さんも多いですが、出血が一時的であれば、命に関わるようなことはほとんどありません。慌てずに対応しましょう。
爪が折れてしまったときの自宅でできる対処法
- まずは出血部位を確認
出血が見られる爪の根本をそっと見て、血が出ている場所を確認します。ウサギが暴れる場合は無理せず、動物病院に連れていきましょう。 - 止血を行う
ご家庭であれば、清潔なティッシュやガーゼで数分間しっかり圧迫するだけで、多くの場合は出血が止まります。
もし止まりにくい場合は、動物用の止血剤や小麦粉などを軽くつけて圧迫すると止まりやすくなります。 - 折れた爪は無理に引っ張らない
途中で折れかけてぶら下がっているような爪でも、自分で無理に取ろうとせず、病院で処置してもらうのが安全です。 - 清潔な環境で安静に
出血後の爪はとてもデリケートな状態です。汚れがつくと感染のリスクがあるため、床材は清潔にし、できるだけ安静にしてもらいましょう。
こんなときは病院へ
- 出血が10分以上止まらない
- 爪の根元から大きく折れている
- 足を痛がって地面につけない、触らせてくれない
- 他のケガも併発していそう
ウサギは痛みに強く見えても、ケガを我慢してしまうことが多い動物です。少しでも気になる様子があれば、早めに獣医師に相談するのがおすすめです。
病院での検査・治療
爪以外にけがをしているところがなければ、爪からの出血点を確認し、止血と消毒をします。
まとめ|ウサギは小さなケガでも早めの対応が大切
- ウサギは骨が細く繊細で、ちょっとした衝撃でも骨折や脱臼、出血が起こりやすい動物です。
- 「急に足をつけなくなった」「爪から血が出ている」「いつもと様子が違う」など、小さな変化でも注意が必要です。
- 特に骨折や脱臼は痛みや後遺症のリスクがあり、早期の診断と治療が重要です。
- 爪が折れて出血した場合も、まずは落ち着いて止血を行い、必要に応じて動物病院で処置を受けましょう。
ウサギのケガは突然起きますが、知識があるだけで対応に大きな差が出ます。
もしものときに備えて、日頃からケージや床環境、爪の長さなどにも気を配ってあげてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
読者のあなたがこの記事から何かしらのヒントや情報を得てくださり、少しでもお役に立てたなら幸いです。
他にも、ウサギの飼い方、心理、病気についてなどの記事を書いています。今後もより良い情報を提供できるように努力してまいります。質問、リクエストなども募集しています。
獣医師 たけちよ
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