中耳、内耳とは
中耳と内耳は、外側からのぞいて見える外耳とは異なります。
外耳は鼓膜より外側です。耳掃除では外耳を掃除しています。
中耳は外耳のさらに奥。外耳とは鼓膜で隔たれています。音を響かせる空間のこと。
内耳は中耳からの音を信号に変換して脳へ伝達するところです。
中耳炎・内耳炎になりやすい子の特徴
耳が汚れやすい子、つまり耳が蒸れやすいロップの子や、耳が短くて自分で掃除ができないちっちゃいネザーランドドワーフなど。
特にロップイヤーの子は、蒸れやすいだけでなく、耳道が狭いこともあり、解剖学的にも耳炎が起こりやすいです。
外耳(耳掃除をするところ)の汚れが外耳炎となり、その炎症が中耳に波及することがあります。
しかし、ウサギの場合は↑のパターンは少ないといわれています。
耳垢が溜まっていなくても(外耳がきれい)、中耳炎内耳炎になることも多いです。
症状
症状は何も見られず、他の理由で検査(頭のレントゲンやCT検査)をした時に偶然見つかることもあります。
中耳炎、内耳炎はセットで起こることが多いですが、初期では単独のことも。
中耳炎のみでは、無症状かたまに耳を気にして振ったり掻いたりするくらいです。
内耳まで炎症が波及すると、内耳の神経が障害を受けるため、斜頸、眼振、ローリングや転倒、などが見られます。
通常、斜頸などの症状は障害を受けた側に起こります。
なので両側に内耳炎が起こっていると斜頸の症状が出ないことも。
これらの、神経症状はエンセファリトゾーン症の症状ととてもよく似ているんです。
見た目ではほぼ違いがわからないくらい似ている症状です。(予測がつくことはあります。)
重度な内耳炎がさらに悪化すると、炎症が脳内へ広がり、脳炎を発症することも。
中内耳炎に伴って起こる症状
耳の炎症に伴い、顔面神経が障害を受けることがあります。
顔面神経は目を閉じる・口を動かす・耳を動かすなどの動きに関わる神経です。
顔面神経が障害を受けて見られる症状としては⤵︎
- 口唇が麻痺するので食べにくく、ご飯などをぽろっと落とす
- 口周りが痩せる(障害を受けた側の筋肉が萎縮する)
- 口周りが痩せる(障害を受けた側の筋肉が萎縮する)
- 目が閉じられない。(角膜が傷つきやすい)
- 片耳のみ垂れる
いずれも障害を受けた側のみの症状です。通常上記の症状が複数みられます。
原因
中耳炎、内耳炎は基本は細菌感染によって起こります。
その中でも、Pusteurella multocidaという名前の菌がほとんどです。
この菌は多くの健康なうさぎさんの鼻や口の中にもいる菌です。
この菌が耳の中に入り込む理由は様々ですが、鼻炎や呼吸器の炎症などから耳管を通じて感染していることも考えられています。
その他としては血液を介しての感染や、外耳炎が挙げられます。
検査
レントゲンやCT検査で確認します。
確認するのは主に骨でできている鼓室胞の中になります。
レントゲンは影絵のようなものです。骨に囲まれたところの評価は苦手なのです。
レントゲンとCTの違いは、CT検査ではレントゲンでわからない小さな病変も見つかること。
レントゲンでは明らかな異常は見つかりますが、軽度なものについてはなかなか見つけられません。
レントゲンで問題ない=異常なし とはならないのです。
CT≧レントゲンです
治療
基本的には抗生物質と消炎剤で治療をしていきます。
しかし、うさぎではなかなか完治は難しいのが現状です。
内科治療で改善が難しい場合は、外科治療を検討することもあります。
まとめ
- 外耳のさらに奥が中耳。さらに奥が内耳
- ロップさんはなりやすい
- 中耳炎の症状はわかりにくい(たまに耳を気にしてふったり、掻いたりくらい。無症状も)
- 内耳炎の症状は斜頸、眼振、ローリングや転倒など神経症状
- 中耳炎内耳炎の症状はとてもエンセファリトゾーンに似ている。
- 顔面神経麻痺が生じることも。
- 検査はCTやレントゲン
- 抗生物質や消炎剤での治療からスタート
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