今日はウサギの女の子でみられる腫瘍のひとつ、乳腺腫瘍についてです。
ウサギの乳腺腫瘍の特徴
ウサギの乳腺は、4対(8個)存在します。
図のように、ウサギの一番頭よりの乳腺は前足の間にあるため、思っている以上に頭側にもあることに注意が必要です。
なりやすい子
メスのうさぎで、比較的高齢、そして避妊手術(子宮と卵巣の摘出)をしていない子で生じやすいです。
この腫瘍は、卵巣や子宮から分泌されるホルモンによって発生することが知られています。
なので避妊手術をしているこの場合はほとんど生じません。
乳腺腫瘍になりやすい年齢としては、大体5歳くらい。(2歳など若い子でも起こることあり)
これは子宮疾患になりやすい年齢ともほぼ一致します。
乳腺のふくらみが、腫瘍ではない場合も
一概に腫瘍というわけではなく、特に若い子では、発情や偽妊娠に伴う乳腺の発達(乳汁をためている)の場合もあります。
乳管拡張、乳腺嚢胞、乳腺過形成などがあります。
絞ると乳汁が出てきて小さくなることも。
また、乳腺に感染が起こると乳腺炎となります、
高齢になるにつれ、乳腺腫瘍であることが多い傾向です。
一方、腫瘍の場合は絞っても小さくなりきりません。
また、乳腺の拡張よりも固くコロコロと触れます。
しかし、どちらなのかは手術でとって、さらには病理検査にだしてみないとわからない、というのが正直なところです。
悪性?良性?
悪性腫瘍:放っておくと全身に広がり、体にさまざまな悪い影響をもたらすため、ほとんどの場合、治療が必要になります。一般的には成長スピードが速く転移や浸潤を起こします(起こりやすさは種類による)
良性腫瘍:生涯にわたって症状がでないものや、生命に影響を及ぼさないものもあります。成長スピードは遅めです。
ウサギの乳腺腫瘍は8割くらいが悪性です。
初期のものは区別がつきません。
悪性腫瘍の場合は明らかに大きくなるスピードが速く、ゴリゴリ硬く触れることが特徴です。
また、悪性の場合は自壊といって腫瘍の表面が壊れて出血してくることも。
悪性の乳腺腫瘍(乳腺癌)は、肺、リンパ節、肝臓などに転移することがあるので手術した後も要注意です。
良性の場合は成長が遅いことが多いです。
悪性腫瘍:放っておくと全身に広がり、体にさまざまな悪い影響をもたらすため、ほとんどの場合、治療が必要になります。一般的には成長スピードが速く転移や浸潤を起こします(起こりやすさは種類による)。
症状
お腹のあたり(正確には皮膚の下)に腫れがみられます。
初期の小さなものや、腫瘍が大きくなっていても抱っこが難しい子の場合は見つけにくいです。
治療
基本的には手術で摘出します。
乳腺が腫瘍ではなく、子宮から分泌されるホルモンによって発達しているだけであれば、子宮卵巣を摘出することでも改善がある場合も。
すでに乳腺が腫瘍化している場合は腫瘍を摘出しなければなりません。
また、乳腺腫瘍がある子は子宮卵巣にも病気があることがおおいので、同時に子宮卵巣の摘出を行うこともかなりあります。
予防
乳腺腫瘍はホルモンが関わる腫瘍ですので、予防としては避妊手術、子宮卵巣の摘出になります。
ウサギは避妊手術をせず、4〜5歳を超えるとほとんどの子は子宮になんらかの病気が発生しています。
それも命に関わることがかなりあります。(子宮腺癌)
無症状の子もかなりいます。
そのため、近年ではメスのうさぎにおいては、そういった病気の予防のための避妊手術が一般的になってきています。
まとめ
乳腺腫瘍はホルモンに関連した、雌ウサギの病気
8割近くが悪性の”癌”です
若い雌ウサギでは、腫瘍でなく乳腺の発達のこともしばしば
高齢になるにつれ腫瘍になっていることが多くなります。
治療は手術です。
予防としては避妊手術が効果的。乳腺だけでなく子宮疾患の予防にも◎!
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