ウサギの精巣腫瘍

今日はウサギの精巣の腫瘍についての記事です。

高齢の去勢手術をしていない男の子うさぎに起こりやすい病気です

去勢していれば起こることはありません。

しかし、精巣腫瘍はそこまで恐れる必要がないのも事実。病気の予防目的の去勢手術は迷うところなのです。

今回はそんな精巣腫瘍について解説します。

目次

精巣腫瘍とは?

精巣にできる腫瘍です。精巣が大きくなってきます。

なので去勢手術をしている子では起こりません。また、精巣のない女の子には関係ありません。

精巣腫瘍が起こりやすい子

高齢のウサギさんに生じやすいです。

また、「潜在精巣」といって、精巣が陰嚢(玉の袋)内に降りてこないことがあります。たいていは片側。

ウサギさんは精巣がおなかの中と陰嚢を出入りするため、普通の子も精巣がないように見えることもありますが、潜在精巣の子は陰嚢のふくらみもみられません。

この、お腹の中に残った精巣は腫瘍となる可能性が高いです。

症状

まず、精巣がある程度大きくなることで気が付きます。

片方だけ大きくなることが多いですが、両方大きくなる場合もあります。

片方の精巣が腫瘍化した場合は、もう片方は委縮して小さくなっていることが多いです。

腫瘍そのものは痛みが出たりすることはほとんどありません。(ほかのところに浸潤をしたり、腫瘍表面から出血するなどの場合は痛みが出てきます)

精巣腫瘍の大きさが大きくなってきて引きずるようになり、皮膚炎などが起こってくると、歩き方が変わったり気にすることもあります。

治療

治療の内容としては、去勢手術によって精巣を取り除くことになります。

精巣腫瘍ができやすい子は高齢の子が多いです。そのため精巣以外にも病気を持っている子もちらほら

手術をする場合はほかの臓器に問題がないかあらかじめ確認しておくのがおすすめです。

どういう時に治療が必要なのか?

見つけたとたんにすぐに手術をしたほうがいい、という緊急性は基本的にはありません。

しかし、精巣腫瘍のサイズが大きくなることで物理的に動きにくさや出血などで生活に支障が出てくるようであれば前向きに検討していくことが多いです。

また、多くの精巣腫瘍は悪性度は高くありませんが、急速に大きくなってくるものは悪性度の高い腫瘍のこともあるため早めに摘出することも。

予防

予防も去勢手術で精巣を取り除くことになります。

しかし、精巣腫瘍は重篤な病気ではないため、ウサギさんの去勢手術は発情行動などのコントロールのために実施することがほとんどです。

精巣腫瘍と間違えられやすい病気

鼠径ヘルニアなどが挙げられます。

鼠径ヘルニアは、精巣がおなかの中と陰嚢を出入りする出口(鼠径輪)から、ほかの臓器(膀胱など)や脂肪が入り込んで精巣のように膨らんでしまう病態です。

膀胱が入り込んだ場合はおしっこが出しにくくなったりすることも。

まとめ

  • 精巣腫瘍:精巣にできる腫瘍のこと
  • 高齢の去勢をしていない男の子にできることがあります。
  • 症状は特になく、緊急性は低め。
  • 生活に支障が出る場合や急に大きくなってくる場合などは手術も前向きに検討しましょう。

去勢手術についてはこちらもどうぞ

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この記事を書いた人

たけちよのアバター たけちよ うさぎ系獣医師

〇エキゾチック専門獣医

うさぎの道をおしえてくれたのは歴代うさぎの白雪。今は3匹のうさぎたち(もふ、ゆきひめ、ちゃちゃまる)と暮らしています。
「うさぎの知識や経験を生かして、幸せなうさぎライフを応援する」ことをVisionに日々生きている、うさぎオタクです。
兎年に生まれ、兎年に獣医師になりました

自分たちより先に旅立つ小さなモフモフに、最期のときにはありがとうって言える付き合い方を、うさ飼い全員で目指したい。

飼い主さんのお話を聞くのが大好きです!ちょっとした疑問や気が付いたことなど遠慮せずどうぞ。

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