「なんだかお腹のあたりにふくらみがある…?」と気づくことがあるかもしれません。
あまりよくある病気ではありませんが、これは鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)と呼ばれる状態かも。
特に未去勢のオスのウサギに多く見られます。 ※未去勢:男の子のうさぎさんの精巣をとる手術をしていない状態
今回は、、鼠径ヘルニアの原因、症状、診断、治療法について、かみ砕いて説明していきます。
Contents
ウサギの鼠径(そけい)ヘルニアとは
哺乳類の雄においては、お腹の中にある精巣が、陰嚢へいくときに精巣がとおる通り道があります。
それが「鼠径輪(そけいりん)」と呼ばれる穴です。
通常、哺乳類の多くは成長とともに鼠径輪が閉じます。
しかし、ウサギの場合、この穴が一生閉じないままです。
そしてここからお腹の中の臓器が外に飛び出してしまうことがあります。それが鼠径ヘルニアです。
飛び出した臓器は、皮膚の下や陰嚢(いんのう、精巣が入っている袋のこと)に入り込むことがあり、触るとしこりのように感じられます。
最も多いのは消化管や脂肪ですが、まれに膀胱(ぼうこう)が飛び出すこともあり、その場合は排尿のトラブルにつながることがあります。
また、これと似ているもので、腹壁ヘルニアというものもあります。
鼠径ヘルニアの症状
ウサギの鼠径ヘルニアには、以下のような症状が見られることがあります。
- お腹や陰嚢のあたりにふくらみがある
- 触ると柔らかい or 少し押すと引っ込むことがある
- 膀胱が飛び出している場合、尿が出にくくなる・おしっこの回数が減る
- カルシウムが沈着して膀胱結石ができることがある
鼠径ヘルニアの診断
動物病院では、以下のような方法で診断します。
🔹 触診
お腹を優しく触って、しこりのようなものがあるかチェックします。
とくにヘルニアの場合は押し戻すと、ふくらみは引っ込みます。
🔹 X線検査(レントゲン)
全体像の把握にはレントゲンが有用です。
🔹 超音波検査(エコー)
超音波検査は、柔らかい臓器は見えにくいレントゲンとは異なり、体の内部を画像で確認し、膀胱や腸の位置を調べることができます。
超音波検査によって、ヘルニアの中にどの臓器が出ているかを大まかに確認することができます。
でている臓器によっては、手術の難易度が変わることがあるため、あらかじめ超音波検査でみておけると安心です。
また、ヘルニアで膀胱が出ている場合については、膀胱内の尿によるカルシウムの沈着や結石が併発することがあります。そういった場合にも超音波検査で詳細を確認することができます。
これらの検査で、どの臓器がどの程度飛び出しているのかを正確に判断します。
鼠径ヘルニアの治療
鼠径ヘルニアを治療するには基本的には外科手術が必要になってきます。
🐰 未去勢のオスの手術
・ 飛び出した臓器を元に戻す
・ 去勢手術と同時に鼠径ヘルニアの穴をふさぐ
🐰 戻すのが難しい場合
・臓器が癒着(ゆちゃく)している場合は慎重に剥がす
・ 開腹手術を行い、お腹の中から臓器を正しい位置に戻す
鼠径ヘルニアは放置していても、明らかな症状がなく過ごすこともあります。
一方で、放置すると膀胱や腸に負担がかかり、尿路結石や消化器トラブルを引き起こすことも。
手術をするかどうかは、その子の年齢や、どの臓器が出ているか、症状の有無などについて検討し、総合的に相談をしていきながら決めていきます。
まとめ:高齢の未去勢のウサギさんはたまにチェックしておくと安心✨
ウサギの鼠径ヘルニアは、特に未去勢のオスに多く見られる病気です。お腹や陰嚢にふくらみを見つけたら、動物病院で診てもらいましょう。
なかなか気がつきにくい場所にありますので、定期的にケアなどで通うショップさんやしっかりと診てくれる動物病院があると安心です。
ウサギさんと一緒に安心して暮らせるよう、日頃からよく触れ合って、異変に気づいたら早めに対処してあげられるといいですね。
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