簡単にわかる”エンセファリトゾーン症”

今日はうさぎに多い病気、エンセファリトゾーン症について解説します。

こちらの記事は「なにそれ、初めて聞いた、、、」という方でも簡単に理解できるように書いた簡易解説編です

目次

“エンセファリトゾーン症”とはなにか

真菌(カビの仲間)に分類されるエンセファリトゾーンという病原体が原因で起こるウサギの疾患です。

ちなみに以前までは原虫という寄生虫の分類でした。

ウサギさんの半数近くは持っている(感染している)ことが知られています。(お母さんうさぎからうつる)

特に保護うさぎや、多頭飼育の子たちには感染が多い印象です。

感染していても必ずしも発症するとは限らず、検査で感染が確認されても、一生涯なにも症状が見られない子もいます。

感染経路

感染しているウサギの尿に一定期間のあいだ排泄されるようです。

その尿を経口接種(舐めたり食べたり)すると、感染が起こると言われています。

また、他のうさぎさんとの接触歴がない子は、生まれる時ににお母さんの産道を介して感染していることがあります。

症状

エンセファリトゾーンが引き起こす症状はさまざまです。

主に有名なのは神経。他に目や腎臓に住みつきやすいです。

神経では主に前庭という平衡感覚をつかさどるところに感染しやすいです。

その場合、斜頸、頭振、眼振などがみられます。

  • 斜頸 : 首の傾き
  • 頭振 : 頭の揺れ
  • 眼振 : 目の揺れ

腎臓に感染している場合は腎不全(初期はわかりにくい…)

目においては、水晶体という目のレンズに感染しやすく、若い時から白内障がみられることがあります。

これらが複合して起こることも普通にあります。

検査

検査は血液中の抗体価を測定します。

抗体価は、 今までエンセファリトゾーンに感染したことがあると、抗体が作られます。それを利用した検査です。

検査費用は病院によりますが1〜2万円ほど。

似ている病気

とてもエンセファリトゾーンの症状に似ている病気があります。

それは耳の奥の炎症(🟰中内耳炎)です。

平衡感覚に関与するため、首の傾きや頭の揺れ、眼振などとてもよく似た症状があります。

見た目だけではわかりにくいため、CTやレントゲンで確認して診断します。

レントゲンだと、小さな病変はわからないことも。

中内耳炎でも、外耳(耳掃除するところ)が綺麗な子もいます。

治療

エンセファリトゾーンに効くお薬を一定期間(基本は1ヶ月ほど)飲んでもらいます。

また、エンセファリトゾーンが脳で起こしている炎症のさらなる広がりを抑えるため、炎症をひかせるお薬を飲むこともあります。

しかし、治療の目的としては斜頸などを”治す”ことではなく、今後の更なる炎症を防ぐことにあることに注意です。

治療後は?

治療後に関しては、斜頸が治って元通りの生活をすることもあれば、斜頸はそのままだけれども、歩き方が上達して何事もなく過ごすこともよくあります。

ってしまう、命に直接関わってくることは少ないですが、例えば腎不全が重度だったり、神経の脳幹という呼吸や心臓の動きなど生命維持に関わる領域に障害が起こると急に亡くなってしまうこともあります。

まとめ

エンセファリトゾーンはかなりの子が保有している感染症。

神経、腎臓、目などに住んでいます。

症状はでない子もいます。

治療は主にお薬。

今回は、病院や専門店などではじめて”エンセファリトゾーン”という名前を聞いた方に向けて書いた簡易記事です。

さらに詳しいエンセファリトゾーンについては別記事で解説する予定ですので乞うご期待〜

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この記事を書いた人

たけちよのアバター たけちよ うさぎ系獣医師

〇エキゾチック専門獣医

うさぎの道をおしえてくれたのは歴代うさぎの白雪。今は3匹のうさぎたち(もふ、ゆきひめ、ちゃちゃまる)と暮らしています。
「うさぎの知識や経験を生かして、幸せなうさぎライフを応援する」ことをVisionに日々生きている、うさぎオタクです。
兎年に生まれ、兎年に獣医師になりました

自分たちより先に旅立つ小さなモフモフに、最期のときにはありがとうって言える付き合い方を、うさ飼い全員で目指したい。

飼い主さんのお話を聞くのが大好きです!ちょっとした疑問や気が付いたことなど遠慮せずどうぞ。

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