ウサギの運動能力は非常に高く、ジャンプや急旋回が得意な一方で、骨や関節は非常に繊細です。
そのため、ちょっとした衝撃で「脱臼」や「骨折」を起こすことがあります。
骨折についてはこちら
この記事では、ウサギの脱臼について、原因から症状、治療法、注意点まで獣医師の目線から詳しく解説します。
Contents
脱臼とは?
脱臼とは、関節を構成する骨同士の接合が外れてしまった状態を指します。
ウサギでは指の関節(指骨)や手首(手根)、足首(足根)、肘、膝(膝蓋骨)、股関節(大腿骨頭)など、さまざまな部位で発生します。
- 指の関節(指骨)
- 手首(手根)
- 足首(足根)
- 肘
- 膝(膝蓋骨)
- 股関節(大腿骨頭)
指の脱臼は、気が付かれにくいです。健康診断の時に偶然見つかることもよくあります。
原因
ウサギの脱臼の主な原因がこちらです。
ウサギの脱臼の原因
- ケージの隙間などで足を引っかける
- 高い場所からの落下やジャンプの失敗
- 飼い主の抱っこ中に暴れてしまう
まれにケージ内にいただけで原因がわからないまま発症することもあります
ウサギの骨や関節は犬猫よりも華奢なため、思っているよりも軽い衝撃で脱臼してしまうことがあるのです。
症状
脱臼した部位によって症状は異なりますが、共通して見られるのが「跛行(びっこをひくこと)」です。
ウサギの脱臼の症状
- 脱臼した脚を地面につけず、浮かせている
- 関節の腫れや変形がある
- 痛がって触らせない
症状は骨折ともよく似ています。レントゲンを撮らないと判断がつかないことも。
放置してしまうと、関節がずれたまま固まってしまい、正常な動きができなくなることもあります。
診断と治療法
診断は、身体検査やX線検査で行います。関節の動揺、可動域の異常、骨の位置関係などから脱臼を確認します。
治療は基本的に「全身麻酔下での整復(元に戻すこと)」と「外固定(ずれないように固定すること)」を行います。
診断
- 身体検査:関節の動揺、可動域の異常、骨の位置関係
- レントゲン(X線検査)
治療
- 全身麻酔下での整復(元に戻すこと)→外固定(ずれないように固定すること)
- 治療後はケージレストを行い、安静を保つことが大切
- 外固定による皮膚の擦れや腫れに注意 ←これはよくあるトラブル
- 固定は数日から2週間くらいで除去するのが一般的
なお、膝蓋骨(お皿)の脱臼や足首の脱臼は再発しやすく、重度の場合は整復手術が必要になることもあります。
逆に、指の脱臼などは無治療でもほとんど問題ないことも。
治療については部位や程度、ウサギさんの状態によって、病院で相談して決めていきましょう。
飼い主さんにできること
- 脱臼の予防のためにできること
- ウサギの動きに注意し、ケージ内の段差を減らす
- 抱っこは正しく、安全に
- 足を引っかけるような構造を避ける
異変を感じたらすぐに動物病院へ
まとめ
ウサギの脱臼は比較的よくあるケガで、適切な処置をすれば回復することも多いです。
ただし、放置してしまうと関節が正常に戻らなくなり、歩行に支障をきたす可能性があります。
異常に気がづいたら早めの受診を心がけましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
獣医師 たけちよ
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