ウサギの皮膚、毛、臭腺について

うさぎについての勉強編、今回は皮膚について学びましょう。

目次

皮膚の解剖 皮膚が弱い理由とは?

うさぎの皮膚は、人と同様に、表皮、真皮、皮下組織から構成されています。

その中に、付属器として毛とその周囲の分泌腺があります。

ウサギの皮膚の人と大きな違いは、一番上にある上皮が人は20層あるのに対し、ウサギは3~4層のみ

とっても薄くて、柔らかい皮膚なんです。

そのため、水分の透過性が高く、ふやけやすいです →(のちに説明する)湿性皮膚炎になりやすい。

しかし、、一概に皮膚の厚みを説明することはできず、皮膚の部位、品種、性別、年齢などによって、皮膚の厚さや構造は異なります。

たとえば品種でいうと、皮膚の厚みは、ロップ種>ネザーランドドワーフとなることが多いです。

また、オスの皮膚は特に厚くなりやすいです。年を取ったのであればなおさら分厚くなります。

ウサギの皮膚の分泌腺は皮脂腺が主で、汗腺は口唇部、耳介内面にわずかに分布しているだけのよう。

汗腺だらけの人間とは異なり、発汗にはあまり頼らず耳の血管を拡張させて体温調節をしています。

ウサギの毛について

ウサギの毛の特徴

毛は、1次毛と呼ばれるオーバーコートと、2次毛と呼ばれるアンダーコートからなります。

オーバーコートは体を保護する役割、アンダーコートには保温や保湿の役割があるといわれています。

長毛種、短毛種、いろいろな子たちがいますよね。もちろん品種によって被毛の構成は異なります。

例えば美しい毛をもつレッキスは1次毛が短く、2次毛と同じ長さになっていて毛の密度が高く、触り心地も柔らかいです。

長毛のアンゴラ種などは2次毛が多いです。

換毛について

ウサギの換毛はだいたい3か月おき、

そして特に激しく抜け替わる換毛は1年のうち、冬毛から夏毛に代わる、夏毛から冬毛に代わるの2回といわれています。

しかし、ホルモンのバランス、栄養状態、環境などで変動がとても大きいです。

年を取った子や不妊手術をした子では、明確な換毛期がみられなくなり、持続的に少しずつ毛が抜け変わっていくような子が結構います。

多くの場合は、頭から換毛が始まり、頸部から背中、そして最後にお腹が抜け替わるといわれています。

頭→頸部→背中→お腹

抜け方はさまざま。ウサギの特徴として、きれいに順番通りに換毛が進むわけではなく、アイランドスキンといってところどころ抜けて、ところどころ生えてきます。

1か所がボソッと抜けるような子も中にはいますが、気にしなくて大丈夫。そのうち生えそろいます。

↑ドワーフロップやミニロップなどでよく起こるとか。

換毛している部分の皮膚は、発毛部の毛包にメラニン色素が蓄積するために、黒く見えます。

毛の管理

ウサギの毛は細くてコシがなくもつれやすいため、毛づくろいによって絡まるのを防いでいます。

他の子と一緒だと、お互いに毛づくろいしあう姿も見られます。

自分でグルーミングができない状態、例えば切歯の不正咬合、肥満、関節炎、脊椎症などによって、口が体のいたるところに届かなくなると、簡単に毛玉が作られてしまいます。

特に、毛が入り乱れやすい会陰部や肛門周囲、後ろ足の内側、腹部は毛玉ができやすく、糞で汚れやすい場所でもあります。

さらに長毛の子だと毛玉は本当にすぐに毛玉になるので気を付けて。

放置すると、さらに毛玉ができて、つながって、フェルト状になるため注意です。

毛玉によって動きに支障がでることや、毛玉ができすぎて肛門がふさがってしまってうんこ●が出ないようなことになると、危険な状態にもなります。

定期的にブラッシングを!長毛の子は必須

毛球症を防ぐこと、毛玉をつくらないためにもブラッシングをしましょう。

換毛期に毛をたくさん飲みこんでいては胃の中で毛玉が形成され毛球症になります

皮膚は傷つき裂けやすいため、慣れないうちはラバーのものなど皮膚にやさしいものが◎。

ウサギにお風呂は必要?

結論、基本的には必要はありません。

うさぎさんの細かい毛(特に2次毛)が濡れてしまうと、絡まりやすくて、なかなか完璧に乾かすのには時間がかかります

背中ならまだしも、洗いたいメインスポットである、おなか側やお尻のところは特に乾かしにくいです。

なので、うさぎさんを完全にコントロールできる飼い主さん以外は、洗わない方がいいかもしれません。

どうしても必要である場合は、専門店や動物病院でやってもらいましょう。(動物病院の中ではやっていないところもあるので確認してください。)

臭腺について

ウサギさんには3種類の臭腺があります。

・顎の下にある、顎下腺

・陰部の両側の深い溝にある、鼠径腺

・肛門の脇にある肛門腺

これらは汗腺が変化したもので、エクリン腺とアポクリン腺の両方の特徴があります。

エクリン腺は人では体温調節に関わったり、精神的な緊張、交感神経の興奮によって分泌する汗腺です。一方の、アポクリン腺は腋窩や外陰部に分布し、思春期になると性ホルモンの影響で分泌が多くなります。

顎下腺

顎下腺により、特にオスでは顎の下が少し透明な分泌物で濡れていることがあります。

それを縄張りのものや他の子にこすりつけて、他のウサギにメッセージを送ることができます。女の子もマーキングする子はいます。

上位の子が下位の子に行うことが多く、またお母さんうさぎが子ウサギに対しても行います。

鼠径腺

鼠径腺は、強いにおいのする茶褐色~黒褐色の蝋様物質を分泌します。

ウサギ同士の意味合いとしては、お互いの個体識別や、性別の確認に役立つため重要な情報源であると考えられています。

糞に臭いをつけて縄張りをアピールすることも。

うさぎが緊張したり、ストレスを感じたりするとこの臭腺からの分泌物がより強いにおいを発することもあります。

ただ臭腺の臭いはただでさえ強いにおいであるため、その変化は人間にとってはわかりにくいことが多く、個体によっても異なります。

臭腺から強いにおいを発していることは正常ですが、異常なにおいや分泌物の異常がみられる場合は動物病院へ。

臭腺の感染や、腫れ、さらには腫瘍の発生もありますので何か異常があればご相談を。

臭腺の掃除は必要?

基本的には不要です。ショップさんではグルーミングのついででやってくれるところもあります。

何もしない状態の鼠径腺の分泌物は、黒い耳くそのような形状です。自然に落ちることが多いですが、落ちずに時間がたつとカチコチになってまるで黒い琥珀のようなものになります。それが特に悪さをすることはありません。

ただ、病院では上記の異常の有無を確認するために、柔らかい綿棒を使って臭腺の分泌物をとって確認することはあります。

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この記事を書いた人

たけちよのアバター たけちよ うさぎ系獣医師

〇エキゾチック専門獣医

うさぎの道をおしえてくれたのは歴代うさぎの白雪。今は3匹のうさぎたち(もふ、ゆきひめ、ちゃちゃまる)と暮らしています。
「うさぎの知識や経験を生かして、幸せなうさぎライフを応援する」ことをVisionに日々生きている、うさぎオタクです。
兎年に生まれ、兎年に獣医師になりました

自分たちより先に旅立つ小さなモフモフに、最期のときにはありがとうって言える付き合い方を、うさ飼い全員で目指したい。

飼い主さんのお話を聞くのが大好きです!ちょっとした疑問や気が付いたことなど遠慮せずどうぞ。

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