ウサギのダニは1年間どの時期でも発生します。
その中でも、春〜梅雨、秋はかけては、うさぎによくいるダニにとって最高の季節なんです。
今日はウサギでよくみられるダニについて、症状、見つけ方、治療法について解説します。
Contents
うさぎにいるダニについて
ツメダニ、ズツキダニ、ウサギヒゼンダニ、ウサギキュウセンヒゼンダニが主です。
ほかに、ウサギ特有ではありませんが、ウサギニキビダニ、マダニなどの寄生も見られます
よく見られるダニランキング(主観的)
症状が強いランキング(主観的)
圧倒的にウサギヒゼンダニ(=疥癬)が痒いです!!
ダニの種類別解説
概要、症状、診断、治療を中心に、ダニの種類ごとに解説します。
ウサギツメダニ(被毛ダニ) Cheyletiella parasitovorax
ツメダニについて
ツメダニは人獣共通感染症といって、ウサギだけでなく、犬や猫、私たち人間にも感染します。
人では軽いかゆみのある皮膚炎を引き起こします。
飼い主さんの中には、「このこをさわると私も痒いんです、、、」とおっしゃる方も結構います。
ツメダニは、角質に寄生して組織液を餌にして、毛に産卵します。
大きさは0.27~0.54㎜程です。目には殆ど見えないでしょう
成ダニは約35日生存します。
ツメダニの中にも複数の種類がいるとされています
C.parasitovoraxのほかにも、C.takahashii、C.ochotonae、C.johnsoniなどが知られています。
症状
最初は無症状ですが、首の後ろや、お尻回りに、ふけと一緒に毛が抜ける症状が出ているのをよく見ます。
他には背中の中央あたりにもみられます。
ウサギさんは最初はそんなに痒くないことも多いです。
しかし、進行して、細菌などの二次感染が起こると皮膚炎になり、かゆがります。
悪化しやすい子の特徴
毛づくろいが苦手な子は、症状が悪化しやすいです。
また、免疫が弱い若い子や、ほかの疾患で免疫が落ちている子も悪くなりやすい傾向があります。
毛づくろいが苦手な子:腰が悪い、歯が悪い、肥満で体を曲げれない、立てない子など。
診断
ツメダニ自体はほとんど肉眼では見えません。
病院ではセロテープでぺたぺたふけや毛をとって、顕微鏡で見てツメダニの親虫や、卵を見つけます。
毛からは卵、ふけからは親虫が見つかることが多いです。
治療
基本は背中に垂らすお薬(セラメクチン;商品名はレボリューション)を使って治療します。
しかし一度の投与ではなかなかよくなりません。
薬は成虫に効きますが、卵には効きません。
そのため、虫のライフサイクルを考慮し、薬を耐え忍んだ卵が孵って成虫になったタイミングで再投与していく必要があります。
症状がどのくらいなくなっているかにもよりますが、大体の子は3‐4週間ごとに3-4回投与すると完全駆除ができているようです。
また、ダニ治療全般に言えることですが、環境中にふけやダニが残っていると再感染が起こって、治療が長引いてしまいます。
ウサギさんにとっても痒いのが長引くのはかわいそうです
お薬だけでなく、ケージやケージ内の小物(特にわらマットや布類、木製製品など)、周りの環境はしっかり消毒をして、治療中は消毒を継続しましょう。
どうしても、背中に垂らすお薬でうまくいかない場合は、注射の薬(イベルメクチン)を使っていくことも。
もし同居のウサギさんがいる場合は、症状がなくてもその子も感染していることが多いため、一緒に治療するのがおすすめです。同居の子がいることも先生に伝えましょう。
ウサギズツキダニ(被毛ダニ) Leporacarus gibbus
ウサギズツキダニについて
ズツキダニ ♀
別名、ツメダニと同じですが、被毛ダニと呼ばれています。
成ダニは、茶色い楕円形をしています。
大きさは550×330㎛で、一番長いところが1㎜の半分くらい。なんと、目に見えます。
顕微鏡で見ると、雄雌で形は異なっています
ズツキダニ♂
雄が、大きな尾葉という、お尻のところの突起を持っていて、雌は丸みを帯びています
ツメダニと一緒に感染していることもあります。
症状
ツメダニとは少し、症状がみられる部位が違って、ウサギの背中だけでなく、鼠径部、お腹、しっぽなどにも見られます。
症状はツメダニより弱いようです。症状なんてないことも。
まだ高校生だった時の管理人の子(初代🐰)も、若い時にズツキダニがいました。
その時は、「そういえばなんとなく耳の後ろあたりを痒がるんですよね」と相談して。そうしたら先生が目視で見つけてテープでとってくれて、顕微鏡で確認しました。
ツメダニと一緒に感染(混合感染といいます)や、大量規制により皮膚炎が起こることがあり、そうすると痒くなります。
診断
ツメダニは見えませんが、ズツキダニは目視で見えるのです。
毛をかき分けてみてみると、塩コショウを振ったように見えることがあります。
ズツキダニは明るいと嫌がるため、逃げ回るため、動くふけといわれます。
おうちの子で見てみてください。もしかするといるかもしれませんよ
病院ではセロテープでぺたぺたして、顕微鏡で見て確認します。
ズツキダニの虫卵は、ツメダニよりも毛先側にいることが多いです。
治療
ツメダニと同じです。
ウサギヒゼンダニ Notoedres cati/Sarcoptes scabiei
疥癬です。これはかかるとかなり厄介です…
ウサギヒゼンダニについて
ネコショウセンコウヒゼンダニNotoedres catiとイヌショウセンコウヒゼンダニSarcoptes scabieiがウサギに感染して起こります。
これは人獣共通感染症で、人にも直接感染します。
疥癬は角質にトンネルを掘って寄生するため、とってもかゆがります。
商業用のウサギや、実験動物のウサギに発生が見られますが、おうちのウサギでも発生はあります。
大きさは0.2~0.4mmくらいで、肉眼ではほぼ見られません。
ライフサイクルは2‐3週間で、雌はトンネルを掘って卵を産み、雄や老虫は皮膚の表面に住んでいます。
感染はウサギ同士の接触によることがほとんどです。
疥癬は環境中では長時間生きられません。発症には免疫力の低下が関係していることが多いです。
症状
頭部、頸部、胴体、四肢先端に、ふけのある皮膚炎をおこします。
ウサギさんはとっても痒がります。診察中も痒くて掻いたり、前足を振ったり。
四肢先端、鼻や目の周りの症状が多くみられる印象です。
重度の濃厚感染では、食欲不振や衰弱が起こることもあります。
診断
疥癬は、皮膚の中にトンネルを作っているため、皮膚の表面の検査ではほとんど見つかりません。
症状が出てカサカサになっている皮膚を少し削り取って、それを顕微鏡で見て成虫や卵を確認します。
治療
治療はツメダニと同じですが、
症状が強いので注射の薬(イベルメクチン)を使うことを検討します。
ウサギキュウセンヒゼンダニ(耳ダニ) Psoroptes cuniculi
耳ダニといわれます。
ウサギキュウセンヒゼンダニについて
主に耳の中に感染し、外耳炎を引き起こす原因にもなります。
大きさは0.5~0.7mm大と1㎜近い大きさがあり、肉眼でも見られます。
大型で、卵円形をしています。
ウサギのふけと組織液を餌にして生きています。
ライフサイクルは3週間くらいで、低温や高湿度の環境では生存期間が延長することが知られています。
ウサギに寄生していなくても、3週間ほどは生きています。
主に接触感染で感染します。
症状
主に耳道内に寄生しているため、耳を特に痒がって耳の内側が赤くなります。
耳道の外に出てくることは基本的にはありません。
進行しているものでは浸出液が出てくる場合も。
診断
耳垢を顕微鏡で見て、虫体や虫卵を確認します。
治療
症状が強い場合、耳の中にはたくさんのカサブタがあります。
しかしこれを耳掃除で取り除いてしまうと出血や炎症が起こることが予想されるため、あまりとりません。
治療は基本的に投薬です。
いろいろお薬はありますが、ツメダニと同じ、背中に垂らすお薬を使っていきます。
お薬で治療していき、ダニがいなくなって耳の中の炎症や痛みが落ち着いたらカサブタを除去していきます。
ウサギニキビダニ Demodex cuniculi
毛包虫といいます。
これはほぼすべての哺乳類に、その動物種ごとのニキビダニがいます。
人にもいます。
~寄生虫の実習にて~
獣医の大学では、寄生虫を観察して絵をかいたりする実習があります。授業の中で自分の鼻にテープを貼ってニキビダニをとって、スケッチしていました。
ニキビダニは、普段は特に何の悪さもせず、毛包の中に住んでいるだけです
しかし、免疫がとても低下しているときなどに発症し、皮膚炎の原因となることもありますが稀です。
痒い=ダニじゃない。
痒い原因は様々です。
感染系だと、ダニ以外にもカビ、ノミ、細菌などがいます。
まとめ
様々なダニを紹介してきました
ダニは種類によって症状が強いものから、ほとんど症状を示さないものまで様々です。
しかしダニであれば治療は似通っていますね。
春秋など、過ごしやすい時期はダニも増えやすいようですので、ブラッシングなどのときなど、たまには見ておきましょう。
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