うさぎの去勢手術事情 メリットデメリット、実際の流れ

ウサギ 去勢手術 メリットデメリット

今回は、ウサギの去勢手術のメリット、デメリット、そして去勢手術を行う際の実際の流れについて解説します。

ウサギさんの女の子については、知識の普及が進んだ今において、疾患予防のための不妊手術を行うことが主流になっています。

一方で男の子のウサギさんについての去勢手術事情はどうなのか。

今回は、ウサギの去勢手術のメリット、デメリット、そして去勢手術を行う際の実際の流れについて解説します。

目次

去勢手術とは

去勢手術は、男の子のウサギさんの精巣をとる手術です。

そうすることで、精子が作られなくなるため、雌ウサギと交尾しても妊娠しなくなります。

ウサギは”交尾排卵動物”といって、交尾の刺激を感じたら排卵をする動物なんです。つまり、排卵のタイミングと交尾が同じのため、交尾したらほとんど確実に妊娠します。

ウサギの場合は繁殖抑制以外の目的で行うことも多いです。

メリット

去勢手術の目的で多いのは、喧嘩をしないようにする、カクカクやおしっことばしなどの行動面の理由が多く病気の予防目的での去勢手術は比較的少ない印象です。

行動面の変化

行動面の改善はマイルドな変化です

手術をしたからといってすぐに行動が変化するわけではありません。

行動面の変化を目的に行う場合は注意が必要です。

印象としては2~3ヵ月くらいかけて、徐々に変わっていくような感じで、いつの間にか変わっています。

しかし、その行動を本人が長く続けていることで、習慣化している場合はなかなか改善しないことも多々あります。

去勢手術で、主にどういった行動に変化が見られやすいかについてまとめました。

カクカクがなくなる

よく、思春期を迎えると雄のウサギさんはカクカクします。(カクカクは女の子でもします。少数派ですが、たまに飼い主さんがこの子は男の子なんじゃないかと疑っています。)

性ホルモンに関連した、本能的な行動なので、去勢手術でしなくなることが多いです。

もちろん性格によるため、個人差大です。

おしっこ飛ばしがなくなる

おしっこを飛ばす行動が男の子はよく見られます。

特に、複数で飼っているとよく見られます。なわばりを主張しているのでしょう

この行動も、大体は去勢手術でなくなることが多いです。

男の子同士でも仲良くできるようになる

ウサギさんのたま付きの男の子同士は、なかなかうまくいかないんですよね。

そもそもウサギさんの群れは男の子が1匹に女の子ウサギが数匹とその子供たちという構成です。

大人の雄ウサギは野生では、群れを脅かす敵の立ち位置であるため、おそらく本能的に合わないのでしょう。

小さい頃は仲良しでも、ある程度性成熟してくると、おしっこを飛ばしあったり、喧嘩したりするようになります。

まあ、絶対にうまくいかないわけではないようです、、、同じキャリーケージにはいってくる未去勢雄ウサギ2匹という組み合わせもきていました。。。家ではずっと一緒にねているんだとか。絆ですね。本当に驚きます。

噛み癖がなくなる、癇癪が収まる

気性の荒い子男の子だと、噛んでくる子がいます。

酷い場合は口の力だけで手にぶら下がるくらい、、

ホルモンが影響しているとは一概には言えませんが、気性が落ち着き、去勢手術をすることで噛まなくなることも。

精巣腫瘍など男性ホルモンに関わる病気のリスクがなくなる

若いうちはあまり気にすることはありませんが、長生きのウサギになってくると、精巣に腫瘍ができることもあります。

ただ、あちこちに転移したり、すごく悪い腫瘍というわけではありません。

あまり大きさが変わらなければ経過を見ることもあるのですが、物理的に歩きにくい、すれて感染してしまうなど生活で困ってくることがあれば手術も検討することになります。

他に、男性ホルモン関連で長生き未去勢雄ウサギに多い病気は腹壁ヘルニアなどです。

手術が必要かどうかは、場合によります。ヘルニアになってからは再発も多い。

腹壁ヘルニア:おなかを包む筋肉に隙間ができて、そこから皮膚の下に臓器が飛び出してたんこぶのようになっているもの。

繁殖予防

男の子と女の子のうさぎを一緒に飼っている場合は、ちょっとした不注意でうさぎがわんさか増えてしまうことになりかねません。

また、女の子を不妊していても、男の子が発情していると、関係性としてはなかなかうまくいかないことが多いです。

ウサギさん同士の交流会などに参加する場合も去勢手術はしていたほうがよさそうです。

デメリット

去勢手術で変わってしまうことなどを中心にデメリットとして挙げます。

性格が変わる

例えば、男の子の性格の傾向としては、すごく甘えん坊な子や、特定の人について回るなどが女の子よりは見られやすいです。

去勢手術をすることで、手術前にはべったりだった子が、そっけない性格になってしまって、残念がっている方もいます。

毛色、毛並みが変わるかも

毛というのは少なからずホルモンに影響しています。

そのため、ホルモンバランスが異なることで毛色が若干変わったり、毛並みにつやがなくなることもあります。

しかし、どちらかというと女の子の不妊手術においての影響のほうが大きいです。

食に目覚める

去勢手術、不妊手術をした子は全般的に食欲が増すことも。

また、脂肪の蓄積を制限するホルモンが出なくなることで、太りやすくもなります。

去勢手術後は一度はごはんの量などは見直しましょう。

換毛がだらだら続くようになる?

また毛関連ですが、換毛もホルモンがつかさどります。

ウサギの換毛は、基本的には春と秋の大換毛、夏と冬の軽い換毛があります。(個体差大)

不妊手術を行うと、このサイクルが乱れるようで、年中いっつも換毛している子が結構います。

将来的な活力源がなくなるかも

これは専門店の方に聞いた話です。

ウサギさんは、かなり高齢(10歳超え)になると、日に日に活力がなくなることがあります。

何か病気があってのこともありますが、年齢によるものと言わざるを得ないものも多数。

そんな時に去勢手術をしていない子は、女の子ウサギさんのにおいをかぐと、一時的に水を得た魚のように元気になることもあるのだとか。

ショップにはウサギさんが何匹かいました。高齢の男の子ウサギさんはケアで通っていましたが、いつもショップにきてほかの女の子のにおいをかいで元気を取り戻していたようです。

手術は命に関わるリスクも

手術にかかわるリスクを侮るわけにはいきません。

去勢手術は比較的リスクの低い手術です。

しかし、それでも麻酔にかかる命のリスク、手術のリスク、手術後のリスクはあります。

ウサギの去勢手術は必ずしも絶対にしなければいけない手術ではないため、体調が万全の時に行うようにしましょう。

行動面の改善はマイルドな変化です

手術をしたからといってすぐに行動が変化するわけではありません。

行動面の変化を目的に行う場合は注意が必要です。

印象としては2~3ヵ月くらいかけて、徐々に変わっていくような感じです。

いつの間にか変わっています。

実際どれくらいの子が去勢手術しているの?

このようにメリットデメリットがどっちつかずなので、実際他の人はどうしているの?というのが気になりますね。

おおよそになりますが半々くらいの印象ですかね。

どちらかというと、手術していない子が多いかも?

多頭飼育されている方は去勢手術をしていることが多いです。

実際の手術

去勢手術を考えるなら、まず一度健診をかねて動物病院に相談に行きましょう。

『去勢手術の相談』といえば受けてくれるはずです。

ご費用4~6万円ほどでしょうか。

私の病院では、入院1泊2日つきで5万弱です。

手術のおおまかな流れ

まずは麻酔です。

犬猫では手術当日にご飯を食べないようにすることもあるようですが、ウサギではその必要はありません。

来院まではしっかり食べてきて問題ないです。

私の病院では、朝にあずかって昼に手術です。来院までは特に制限せずいつも通り食べてきてもらって、手術までの時間はご飯を抜いています。

以下は病院ごとに異なるので、たけちよの病院の場合です。

まずは筋肉注射で鎮静をかけます。

鎮静といっても、寝ていて大きな刺激がない限り反応しないので見た目は全身麻酔と変わりません。

皮下の点滴で、あらかじめ止血剤や痛み止めなどを注射します。

しっかり鎮静が効いたら、血中酸素濃度や心電図などをみて麻酔が安定しているかを確認しながら、ガス麻酔で全身麻酔をかけていき、手術で切るところの毛刈りなどを行っていきます。

全身麻酔をかけることで、皮膚を切る痛みや、精巣を引っ張る際の強い刺激に対しても反応せず安全に手術を行うことができるようになります。

省略しましたが、気管挿管や留置も取り、呼吸を管理して手術中は静脈点滴を流しています。

麻酔が安定していることが確認出来たら、いよいよ手術です。

~手術~  2つの陰嚢より少し頭側の皮膚を切って、精巣を押し出します。精巣からつながっている血管と精管を糸で結んで(または焼き切って)精巣を取り出します。皮下と皮膚を縫って完了です。

手術の時間自体は大体15分もかからないくらいです。

おなかを開ける避妊手術と比較すると、去勢手術は、本人の負担はそこまで大きくないようです。

(本人の性格によりますが)避妊手術などよりは、オペ後に割と早くに食べ始める子が多い印象です。

入院がいいか、日帰りがいいか?

入院になるか、即日退院かは病院に異なります。

私の病院では1泊して帰る子がメインなので、次の日も痛み止めの注射などをしています。

基本的には次の日の退院をすすめてはいますが、たまに強く日帰りをご希望される方もいるため、日帰りの対応をすることもあります。

入院がいいか、日帰りがいいかは何とも言えません。

生物学的には点滴だったり綿密なアフターケアができる入院がいいです。しかし病院にいること自体が莫大なストレスのため、心理的にはおうちに帰ったほうがいいと思います。つまり入院は一長一短です。

一度病院に相談を。

病院ではなかなか食べ始める子はすくないため、手術の後にご飯を全然食べていなくても、次の日にはおうちに返すことがほとんどです。

退院後は何日間か、お薬を自宅で飲んでもらいます。

まとめ

以上より、去勢手術は一長一短。

割合としては半々くらいですが、どちらかというとしていない子が多いかも。

リスクが伴う手術です。しっかり目的を確認して行うようにしましょう。

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この記事を書いた人

たけちよのアバター たけちよ うさぎ系獣医師

〇エキゾチック専門獣医

うさぎの道をおしえてくれたのは歴代うさぎの白雪。今は3匹のうさぎたち(もふ、ゆきひめ、ちゃちゃまる)と暮らしています。
「うさぎの知識や経験を生かして、幸せなうさぎライフを応援する」ことをVisionに日々生きている、うさぎオタクです。
兎年に生まれ、兎年に獣医師になりました

自分たちより先に旅立つ小さなモフモフに、最期のときにはありがとうって言える付き合い方を、うさ飼い全員で目指したい。

飼い主さんのお話を聞くのが大好きです!ちょっとした疑問や気が付いたことなど遠慮せずどうぞ。

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