ウサギの飼い方 Vol.0 準備しておくべき”心構え” 

今回は獣医師ながら初心にかえり、ウサギの飼い方について改めて考えるシリーズを始めようと思い立ちました。

でも飼い方の前に、まずはウサギを向かい入れる準備でVol.0として、心構えについてまとめてから飼い方については順次アップしていこうと思います。

今回は、これからうさぎと暮らしはじめる、または新たな家族としてうさぎさんを向かい入れることを検討している方にはぜひ知ってもらいたい、ウサギのことをまとめた記事になっています。

目次

ウサギとはどんな動物?

うさぎは、草を食べる、耳が長いかわいい動物ということはほとんどの方がご存知だと思います。

飼育をする上で、まずは野生での暮らし方を知っておくことはとても重要です。ここでは自然界ではどんな暮らしをしているか、について大まかに解説します。

一般的に飼われているうさぎさんは、ヨーロッパアナウサギがもとになり品種改良されている子たちです。

一つの種で、うさぎさんごとの毛色、毛の長さ、耳の長さや体の大きさなどの違いは、品種による違いになります。

品種と種の違い : 品種は、人工的に改良が加えられ、その形質が固定化された個体の集団という意味です。異なる品種でも、元となる種は同じです。

大まかな、ヨーロッパアナウサギの野生での暮らしは、群れで巣穴(ワーレン)を掘って暮らし、1日の大半を草を探したり食べたりして過ごします。

大体はオスをリーダーにする一夫多妻制のグループを作ります。活動時間は主に薄明白暮で、早朝と夕方です。

管理人が提唱する、うさぎは現代人にピッタリだと思う理由

理由その1: 薄明薄暮な生活スタイル:

動物は主に活動する時間が決まっています。

うさぎさんは夜行性よりの薄明薄暮性。

早朝までや夕方以降の時間帯、つまり多くの人の仕事をしている時間帯は寝ていることが多く、逆に夕方以降の仕事後は元気に遊び回ります。

オールナイトには付き合いますが、別に深夜型ではありませんので夜中にはしゃぎまわることも少ないです。

理由その2 : 人に合わせる適応力がある:

かなり人間側に生活スタイルをあわせてくれる傾向があります。

また、夜中にはしゃぎまわるという感じではなく、ふだんゆっくり過ごしているけど、徹夜には付き合う、みたいな感じです。

ウサギは一般的に環境変化に弱く、音に敏感というイメージがありますが、たいていの子は最初はびくびくしていても、1週間くらいもすれば大抵は動じなくなります。

慣れるのには個体差があり、またどんなメンタルの強い子でも少しずつ慣れていくものであることには注意です。

管理人はある程度打たれ強いうさぎに育てることをお勧めします。

理由その3: 臭くない

便は余裕で手でさわれます。便はほぼ無臭です。

ペレットが形を変えて排出されてるという感覚です。(まあそうなんだけど)

※ちなみにオスの便は若干臭う子がいます。尿は他の動物と同じように匂いがします。(トイレにしていれば大したことはありません。)

また、本人の獣臭も肉食や雑食の子と比べるとほぼ無臭です。基本的にはお風呂も必要ありません。

理由その4 :鳴かない

うさぎは、ほぼ鳴きません。

鳴くとしたら、嫌だったら怒った時の”ブー”、嬉しいときの”プスプスプー”くらい。

少なくとも、まず隣の家に声が聞こえることはないでしょう。

あとは大ピンチのぎゃーという声もありますが、普通に生活していればまずないです。(病院でたまに見かけるくらい)

なので、集合住宅でも特に周りにほぼ迷惑をかけることなく暮らせます。

理由その 5:しつけ(?)に失敗していてもわりと『かわいい』で済む

犬などではしっかり躾をしないといわゆる『ダメ犬』と呼ばれてしまうようです。

しかしうさぎは、部屋を荒らそうが、自己主張が強かろうが、そこまで害がないため、かわいい、の一言でなんとかなることが多いです。

ただ、すごく噛んだりする子は今後の関係性にも亀裂が入るので何か対策をした方がいいでしょう。

人と暮らしていく上でうさぎさんにも最低限のルールを教えてあげることは、飼い主の責任です。

厳しいようでもそれが人間と暮らすうさぎさんの幸せの鍵🔑になります。

(噛むことに関しては、思春期が関連していることもあり、年齢的に成熟してくる(1歳超えるくらい)と治ることも多いです。)

うさぎを飼うことの心構え

うさぎに限らず、虫や魚から犬までペット全般に言えることですが、まず第一にお迎えから最期まで責任を持ってお世話をしなければいけません。

ウサギの平均寿命は7歳くらい、しかし中には16歳くらいまで一緒に暮らしてくれるうさぎもいます。

世界ギネスレコードによると、世界で最も長生きしたうさぎの年齢は18歳10ヶ月です。

オーストラリアに暮らしていたフロプシーといううさぎで、人間の年齢に換算すると約120歳〜130歳ほどになります。

一方、ペットうさぎのギネス記録はアメリカイリノイ州のミックといううさぎで、16歳で認定を受けています。

年齢を重ねるうちに関節の炎症や体調不良に見舞われましたが、飼い主のサポートによって長生きできました。

うさぎさんは長生きになると足腰を痛めやすいため、最後の数年は立ったりはむずかしくなったり毎日お尻を洗ったり、目をふいたりあなどの介護が必要になることも。

それを受け入れられますか?

うさぎはかわいいです。運命を感じてしまうような目でこちらをみてくることもあります。

しかし、お世話の大変さと責任をしっかり念頭においた上でお迎えすることを決めてください。

ここからはウサギとの暮らしで大変なことを紹介します。

うさぎを飼うことのデメリット

思いついたもの

あなたの時間とお金が減る

最低限のお世話は、1日1回のトイレの掃除、一日1〜2回のご飯、最低でも30分くらいは一緒に遊んだり好きなことをさせてあげてください。

うさぎさんと暮らしていくことは、今後20年近くの時間を毎日うさぎさんのために使うことを覚悟しなければなりません。

月々にかかる大体の費用は次の記事で紹介します。

爪切りが必要

1〜2ヶ月に一度は爪切りが必要です。

犬や猫と違い、なかなか家では切らせてくれない子がほとんど。

うさぎ専門店に通ったり、健診がてらに病院へ来て爪を切っている子もかなりいます。

鬱滞(うったい)になる

うさぎさんは人生の中で、必ずと言っていいほどうっ滞になります。

うっ滞というのは、急にご飯食べない、うんちでない、元気がない、などの症状がでます。

これは対応(病院へ行って点滴打ったり薬もらう)が早ければ割とすぐに改善することが多いのですが、そのままにしておくと最悪の場合命に関わることもある危険な状態です。

原因は、いろんなストレスで、交感神経⤴︎となり、消化管が動かなくなってしまうことです。なかなか予防というのはないんです。

ふとした時、あれなんか変?ということがいつでも起こりえるのです。

よりによって大事な仕事などの用事と被ったり。

こんな時、自ら仕事を休んだりすることができる環境がある方は問題ありませんが、代わりに病院へ連れて行ってくれる家族はいたほうが心強いです。

うったいについて、詳しく知りたいはこちらもどうぞ⤵︎

齧るのは結構厄介(下に物をおけない)

本能なのか、紙や木でできたものを齧りたくなるようです。

家具や壁紙、床に落ちている様々なものを食べたり噛んだりします。

特に厄介なのが壁紙です。

剥き出しになっている壁はやられます。猫の爪研ぎ防止シートや100均の金網などで全面防御をすることが必要となってきます。

どんなものをどれだけかじるかはその子次第ですが、もはや本能なのでやめさせるのは難しいです。

こればっかりは他に噛むためのかじり木などを用意しても無意味なんですよね。

床に落ちているものをかじるので、うちは不思議と人間が床に物を置かなくなりました⭐️

抱っこは、たいてい嫌がられる

〜うさぎさんの抱っこの仕方〜みたいなページをみるととても簡単そうですよね。

お腹に手を入れて、お尻を支えて優しく抱き上げる。たしかにやり方は合っています。

調べればいくらでもわかりやすく説明のある抱っこの仕方ですが、実際自宅で日常的に抱っこができる方はわずかです

草食動物であるウサギさんにとって、基本的に抱っこは完全に身を預けることになります。草食動物であるウサギさんにとっは捕食されることを本能的に連想させるのでしょう。

おそらく、最初から抱っこをされて喜ぶウサギさんはいません。

最初のうちは、飼い主さん自身が慣れない気持ちもあり、抱っこされる側のうさぎとしてもとても不安定な抱きかたになりがちなのでより一層怖くなるのです。

しかも暴れた時に怪我をしやすい。

抱っこをして愛でることができるのは、数年は先のことだと思ってください。ましてやずっとできないかも、、、?

抱っこができる、できない、は個々の性格も大きいです。でも、抱っこしてもOKな子も、絶対抱っこはダメな子も正直どちらでもいいのです。ウサギさんとの信頼関係をじっくりと根気強く築き上げていけば、ふれあいの程度たとえ少なくても理解しあえている感覚が得られるはずです。それこそウサギの本当の魅力です。

換毛期はえぐいほど毛が抜ける

春、秋の大換毛、夏と冬の小換毛期が訪れます。

その時期は、頭に眉毛みたいな模様が現れて、お尻に向かって進んでいって、放っておくとボサボサのお尻になります。

ブラッシングが必要なのと、この時期は家に毛が舞っています。

思ったのと違うになりやすいみたい。

ウサギさんの「ふわふわでかわいい」、「飼いやすそう」、というやんわりとしたイメージ、犬猫を飼うよりは低いハードル、そこへコロナ禍とウサギ年によるウサギブームも相まって、ウサギさんと暮らし始める人は増えています。

日本にうさぎ愛がわかる人が増えるのは嬉しいことです。

しかし、うさぎオタクな管理人には到底理解ができませんが、うさぎさんを新たに飼う人が増えるほど、捨てられるうさぎさんが後を経たないようです。

上記で上げている理由や、表情がよみにくくあまり犬猫のように簡単にはなつかないところも理由かもしれません。

うさぎはすごく理解している子たち。バカだからなつかないなんて言語道断。気を許してくれないのは、たぶんまだちょっと怖いのか、飼い主が人間的に未熟、などなど様々な理由で嫌われてしまうこともあります。

うさぎさんと付き合うには根気が必要なのです。

どうしても飼育できなくなって手放すことを考える時点で最低ですが、次の飼育者を見つけてあげることが、最低限りの責任です。 そして、そういう方はお願いですからウサギ含め二度と動物を飼わないことを誓ってください。

まとめ

ここまで、うさぎさんと暮らす心構えとして、大変なことを重点を置いて説明させていただきました。

でももちろん、大変なことばかりではありません。これは何度もうさぎと暮らすことを選んでいる人がたくさんいることが証明しています。

わたしもウサギと暮らし続けるのは、あの子たちといると大変さなんて吹き飛ばすくらいの楽しみと癒しと幸せを感じるからです。

ペットを飼おうと考えている方は色々な動物種のペットを検討されているかもしれません。

自分の生活スタイル、未来などをよく検討したうえでこれだ!と思うペットを選びましょう。または、今はペット自体と暮らすタイミングではないことがわかる場合もあります。

他の色々なペットもいる中で、うさぎさんを向かい入れようと決心してくれた方は、ようこそうさぎワールドへ。運命を感じたその子とのうさぎライフのはじまりですね。

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この記事を書いた人

たけちよのアバター たけちよ うさぎ系獣医師

〇エキゾチック専門獣医

うさぎの道をおしえてくれたのは歴代うさぎの白雪。今は3匹のうさぎたち(もふ、ゆきひめ、ちゃちゃまる)と暮らしています。
「うさぎの知識や経験を生かして、幸せなうさぎライフを応援する」ことをVisionに日々生きている、うさぎオタクです。
兎年に生まれ、兎年に獣医師になりました

自分たちより先に旅立つ小さなモフモフに、最期のときにはありがとうって言える付き合い方を、うさ飼い全員で目指したい。

飼い主さんのお話を聞くのが大好きです!ちょっとした疑問や気が付いたことなど遠慮せずどうぞ。

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