ウサギの止まらない涙 よくある原因 

うさぎは涙がでたり、目ヤニがついたりが多いです。これはまとめて流涙症とよばれます。

続いてしまうと皮膚が弱いのも相まって、皮膚炎が起こったりなかなか厄介です。

今日は多くの飼い主さんを悩ませる、ウサギの流涙についてよくある原因をまとめました。

目次

涙目の状態

原因について考える前に、涙目はどんな状態か説明します。

涙目は、目から涙があふれている状態です。

うさぎさんでよく目頭に小さな目くそがついていることがありますが、これは多くの場合問題ありません。

ウサギの目はムチン(結膜の杯細胞が分泌)という、ネバネバの粘液成分が多く含まれています。そのおかげで、目の表面を乾きにくくして、瞬きが少なくても困りません。

その余分なムチンが目頭に少し溜まります。

本来であればうさぎ同士で舐め合うことで綺麗にしているものです。

ある程度気心の知れたウサギの挨拶でよくみられます。

今回はこれよりも涙が多く、目頭の毛を濡らすくらいの流涙についてです。

流涙の原因

正常な目というのは、涙の産生量と排出量のバランスが取れている状態です。

考えられる原因としていくつかパターンがあるため、これらを分けて紹介します。

  • 眼球に関連したもの(≒涙の産生量が多い)
  • 排出がうまくいかない(≒涙の排出がうまくいかない)
  • 涙の質が悪い

眼球関連

角膜潰瘍

簡単にいうと目の表面に傷ができている状態です。

よくあるのが、牧草の小さなかけらが目に入ってしまったり、勢いあまって牧草に頭を突っ込んで目を傷つけてしまうケースです。

しかし、目に傷ができる原因はそれ以外にもたくさんあります。

角膜に傷がつくと急に目をしょぼしょぼとさせ涙目になるため、すぐに気がつくでしょう。

感染などが起きていない軽度な角膜潰瘍は5日くらいで治癒します。

結膜炎

結膜(白目の表面や瞼の裏側)細菌感染が起きてしまうことで生じます。

白目や瞼の裏側が真っ赤に充血します。

涙嚢炎に関連して生じることも。

涙というより、ベタベタした目ヤニが出ることがおおいです。

緑内障

目の眼圧が上がる病気です。

目のハリ感は、内部の液体(眼房水)によって保たれています。

この液体成分が増えることで、目の中の水圧が上がり、眼球に影響を及ぼします。

痛みが出るため、涙が出やすいです。

ブドウ膜炎

目の中の血管が豊富なブドウ膜(脈絡膜や虹彩など)で炎症が起きます。

痛みが出て白目が赤く充血することも。

原因は様々。

うさぎさんでは、エンセファリトゾーンの水晶体感染によるもの、細菌性のブドウ膜炎に大きく分かれます。

涙の排出がうまくいかない(鼻涙管関連)

涙は、上記のような目の異常がなくても、基本的にはずっと作られつづけています。

そして、目の内側の鼻涙管から排出され、鼻に到達し鼻水になります。

正常な目というのは、涙の産生量と排出量のバランスが取れている状態です。

ここからは、涙の排出がうまく行っていない原因について説明します。

鼻涙管閉塞

人間も犬もうさぎも、涙は作られると、出口は鼻涙管という管を通って、鼻に送られます。

うさぎさんはその中でも、鼻涙管の開口部が、他の動物が2つあるのに対し、一つしかなく、この穴が詰まったりして通りが悪くなると途端に涙が溢れてしまうのです。

鼻涙管閉塞の原因もいくつかあります。代表的なものを紹介します。

鼻涙管内のよごれ

鼻涙管内に、目やにや目の表面の脂成分などが固まって管を塞いでしまうことがあります。

涙嚢炎になっている

鼻涙管の途中に涙嚢という涙を貯めるところがあります。その涙溜まりに細菌感染などが起こっていることがあります。

涙囊炎から結膜炎になることも

歯根による閉塞

うさぎさんの鼻涙管の通り道の近くに、上の前歯(上顎切歯)と上顎第二前臼歯の歯根があります。不正咬合が起こると、この歯根側に歯が伸びてくることがあり、これが鼻涙管を閉塞してしまうことがあります。

このパターンは完全閉塞と言って、骨の構造が潰れてしまっているため、回復することはありません。今後も毎日涙をふき続ける必要があります。

涙の質が悪い

マイボーム腺の機能が低下している

目は涙の水性の成分だけでなく、油の成分も存在します。

油の成分があることで、表面張力で目の表面に涙が膜を作ることができます。

これがなくなってしまうことで、この表面張力がうまく働かず、涙が目の表面にとどまれずにあふれてしまいます。

マイボーム腺という瞼の辺縁にたくさんある分泌腺が、この目の表面の油成分をだしています。

マイボーム腺は炎症や、分泌物が目詰まりを起こすなどにより分泌しにくくなってしまいます。

また、眼瞼板(瞼のふちにある軟骨のような構造)がない、眼瞼板形成不全がある子もマイボーム腺がうまく機能していないことが多いです。これは治すことはできないため、上手に付き合っていくことになります。

涙がずっと出ていると、、、

うさぎの皮膚はかなり薄いです。そのため涙など水分でずっと濡れているとふやけてしまって、そこに細菌が感染すると皮膚炎が生じることがあります。

ex) 湿性皮膚炎

まとめ

うさぎさんの涙目は治らないものはなかなか厄介です。

ウサギの流涙症は眼球に関連したもの、涙の排出に関わるもの、涙の質に関わるものとして大きく分かれます。

悩んでいる方は少し頭の整理ができたかもしれません。

各疾患の治療含めた詳しい記事や、ケアの方法なども今後書いていく予定です。

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この記事を書いた人

たけちよのアバター たけちよ うさぎ系獣医師

〇エキゾチック専門獣医

うさぎの道をおしえてくれたのは歴代うさぎの白雪。今は3匹のうさぎたち(もふ、ゆきひめ、ちゃちゃまる)と暮らしています。
「うさぎの知識や経験を生かして、幸せなうさぎライフを応援する」ことをVisionに日々生きている、うさぎオタクです。
兎年に生まれ、兎年に獣医師になりました

自分たちより先に旅立つ小さなモフモフに、最期のときにはありがとうって言える付き合い方を、うさ飼い全員で目指したい。

飼い主さんのお話を聞くのが大好きです!ちょっとした疑問や気が付いたことなど遠慮せずどうぞ。

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