ウサギの鼻炎、スナッフルについて

今日はうさぎにおける鼻炎について。

目次

鼻炎について

くしゃみ、鼻水の症状はウサギには圧倒的に多いです。

鼻炎を見つけたらなるべく早めの対処をお勧めします。

症状

症状としては、くしゃみ※、鼻水です。

くしゃみを確認することが一番わかりやすいですが、くしゃみと鼻水によって前肢の毛がカピカピしていることがあります。

※一見くしゃみにみえても、実はほかの症状であることもあるため、病院へ行く際はくしゃみの動画を持っていくと安心です。

鼻汁が重度で、鼻が詰まっているような状況では口を開けて呼吸をしていたり、呼吸が苦しそうな様子を見せます。

鼻炎も何もない子は、くしゃみをしているところはほとんど全く見ません。そのため週に1-2回以上のくしゃみがある子は鼻炎を疑います。

鼻炎のない子でも、牧草やペレットの粉などが鼻の中に入ると一時的にたくさんくしゃみをすることがあります。その場合は、長期にわたり続くことはありません。

原因

ウサギの鼻炎の原因として、最も多いのが細菌です。

細菌だけでなく、ウイルスや真菌など他にも多くありますが比較的稀です。感染症以外では、歯科疾患にかかわるもの、異物の吸引などもあります。

細菌性のものだと、Pasteurella multocida がほとんど(半数以上)です。

そのほかの細菌はBordetella bronchiseptica(ボルデテラ)、Pseudomonas spp、Staphylococcus sppなどが報告されています。混合感染といって、複数の細菌がかかわっていることもあります。

特にボルデテラ菌はパスツレラ菌の感染を助けるということが知られています。

これらの菌はもともと鼻炎のない正常なウサギの鼻の中にも住んでいて、免疫が落ちると発症するものになります=日和見感染

免疫がおちる原因:季節の変化に伴う寒暖差、環境の変化、不衛生な環境、低換気(糞尿などにより高アンモニアになると鼻粘膜を弱らせます)など。

病院での検査

軽い鼻炎の場合は、検査を飛ばして治療から入ることも多いです。

検査については、細菌培養、画像検査(CT検査、レントゲン検査)。

細菌の種類やしっかりと効く抗生剤をあらかじめ知ったうえで治療をする場合は、細菌培養検査を行います。

重症や慢性経過の子の場合は、鼻炎以外の疾患を確認しておく意味で、レントゲン、CT検査をすることもあります。

治療

治療は、原因によってもことなりますが、最も多い細菌感染が原因である鼻炎に対しては抗生剤をメインに治療します。(上記の細菌培養を実施したうえで効く抗生剤を調べてからスタートすることが理想です。)

抗生剤や消炎剤の内服薬、ネブライジング、点鼻薬などで治療していきます。

※ネブライジングは、抗生剤や炎症止めの薬を細かい霧にして吸うものです。子供が耳鼻科で吸っているやつです。

病院での治療ではありませんが、本人の免疫を高めることも重要です。

ケージ内にパネルヒーターを置きましょう。そうすることで本人が自分で体温調節をすることができます。

慢性・急性

急に出てきた症状なのか、以前から続いているのかで治療のゴールは少し異なります。

急性症状:急激に症状が発生する(始まる)ということで、症状が急速にみられます。初めて生じてから数日、あるいはせいぜい2~3週間以内の場合です。わりと急速に治るという意味が含まれています

慢性症状:”急性”に対して2~3ヵ月以上続く場合を慢性と考えてください

急性症状の場合は、短期間で集中的に治療をすると完治することも多いのです。

しかし慢性症状の場合は、治療をしていてもなかなか完治は難しいことが多いです。

骨など深いところまで感染していて、なかなか完全に菌を排除できていないことが考えられます。

慢性的な鼻炎に対して、一生涯にわたり内服やネブライジングなどの集中的な治療を続けていくことは、あまり現実的ではありません。

そのため、ある程度しっかり治療を続けて、生活に支障のない範囲まで改善がみられたら、なるべくその状態を維持できるレベルの治療まで減らしていき、最低限の治療を考えます。

特に長期で続いている慢性鼻炎に関しては、抗生剤などはかなり効きにくいです。免疫を高めるサプリメントなどが意外と効果があったとおっしゃる方も多いです。

そのくしゃみ、鼻炎じゃないかも?

細菌培養検査で効く抗生剤を見つけ出し、一日2回の内服薬、ネブライジング治療で集中的に治療しているのに、治らない。

慢性的な鼻炎かと思いきや、、、

そういった時、CT検査をすると、実は単なる鼻炎でなく、鼻の中にできもの(鼻腔内腫瘤といいます)が見つかることもあります。

まずはしっかりと鼻炎の治療を行っていくことが先ですが、難治性のくしゃみにはそういった鼻炎以外のものもあります。

まとめ

・ウサギの鼻炎は細菌性のものがほとんど。

・早めの治療がおすすめ。慢性化した鼻炎は治りにくい。

・治療は抗生剤の飲み薬、ネブライジング、点鼻など。本人の免疫を高める努力も大事。

・慢性鼻炎には、治療はほどほどにうまく付き合っていくという考え方も。

・鼻炎ではなく、鼻の中の腫瘤のことも。

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この記事を書いた人

たけちよのアバター たけちよ うさぎ系獣医師

〇エキゾチック専門獣医

うさぎの道をおしえてくれたのは歴代うさぎの白雪。今は3匹のうさぎたち(もふ、ゆきひめ、ちゃちゃまる)と暮らしています。
「うさぎの知識や経験を生かして、幸せなうさぎライフを応援する」ことをVisionに日々生きている、うさぎオタクです。
兎年に生まれ、兎年に獣医師になりました

自分たちより先に旅立つ小さなモフモフに、最期のときにはありがとうって言える付き合い方を、うさ飼い全員で目指したい。

飼い主さんのお話を聞くのが大好きです!ちょっとした疑問や気が付いたことなど遠慮せずどうぞ。

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