健康のために、うさぎに牧草をしっかり食べてもらいたい…
これは多くのうさ飼いさんに共通する悩みですよね。
この記事では、うさぎが牧草を食べない原因とその対策について、うさぎ専門の獣医師の視点からわかりやすく解説します。
さらに、牧草を食べてもらうために欠かせない「飼い主さんの気持ちの持ち方」についてもお伝えします。焦らず、少しずつ改善していきましょう。
Contents
牧草を食べない要因
理由① 他のおいしいものでおなかがいっぱい
このパターンはとても多いです。でも、対策はシンプル。
ご飯をあげることが幸せな飼い主さんにとっては、しんどいかもしれませんが、、、
そうです。ペレットとおやつの量を見直しましょう。
ペレットの袋(パッケージ)に書いてある量をそのままあげていませんか?
実はあの量は、牧草をほとんど食べない場合の目安ともいわれています。
目安は、大人のうさぎで体重の1〜2%程度のペレット。(1日あたり)
※例えば体重1kgなら10〜20gが目安ですが、うさぎの個体差や運動量によって適量は変わります。
この目安の量には2倍の差があることになります。
ウサギさんには個体差、運動量、ペレットの栄養素の違い…などなど消費カロリーに影響する要因があります。
なので、本人の体型などを考えながら、最適な量を見つけるしかありません。
ペレットの量の決め方 ポイント
- 太りすぎず痩せすぎず、体重が安定する量が理想
- ペレットはゼロにしない。牧草だけでは栄養が足りません
大人のウサギさんだったら、理想体重が安定するときの量がベストな量です。
ペレットは減らしても、ゼロにしないで。牧草だけで大丈夫という意見もあります。しかし野生のウサギは、植物の葉や茎だけではなく、根や木の皮、季節によっては果実、種なども食べています。牧草だけでは栄養が足りません。特に小さなうさぎさんでは、身体の発育や心臓の発達にも影響が出るようですので、ペレットは決して不要なものではありません。
理由② ペレットの回数が多い
みなさんは1日にペレットを何回あげていますか?
1回、2回、3回?それともそれ以上ですか。
牧草をしっかり食べてもらうためには、ペレットの回数は1〜2回程度に絞るのが理想です。
ただし、一気食い後に苦しそうにする子は、少しずつ小分けにするのもOKです。体調を見ながら調整しましょう。
ペレットは牧草と異なりつなぎの成分があるため、おなかの中で水分を吸収すると膨らんで大きくなります。
理由③ あげる順番がダメ
うさぎは、おやつ > ペレット > 野菜 > 牧草の順番で好むことが多いです。(もちろん個体差はあります)
そしてうさぎたち動物は、人間のように美味しいものを最後に取っておいたりはしません。
今ある食べ物の中で一番おいしいものから食べていきます。
お腹がすいている朝に、いきなりペレットをあげていませんか?
推奨する順番
- 朝はまず牧草
- 次に野菜
- 食欲が落ち着いたらペレット
この順番にするだけで、自然と牧草を食べる機会が増えるはずです!
追記:ペレットは夜多めが理想?
うさぎは夕方〜早朝に活発に動く「薄明薄暮性」の動物です。
消化管が活発に動く夕方以降はカロリーの高いペレットを多めに、その代わり朝のペレットは少なめにすると良いでしょう。
その結果、朝〜夕方の間はお腹がすきやすくなり、牧草をしっかり食べてくれるようになります。
実際、広島のうさぎ島(大久野島)でも、ウサギたちは主に夕方に活発にご飯を求めていました。
おうちのうさぎさんも、薄暗い時間帯に消化管を使うのが本来に近しい食べ方と思われます。
理由④ 牧草を食べる時間がない
意外に見落としがちなのがこれ。
部屋んぽの時間が長すぎて、ケージ内で牧草を食べる時間がない場合もあります。
ケージにいる時間も適度に確保し、牧草と向き合う時間をつくってあげましょう。
1匹飼いの多くの人は、飼い主さんが家にいる間は、ウサギさんはずっとリビングに出ているというパターンが多くなりがちですよね
心苦しいですが、部屋んぽの時間の制限も必要かもしれません。
ウサギさんが、「なんであんたがいるのに私が出れないのよ!」と怒る場合は、無視するか、仕方ないので飼い主さんが出かけましょう。
理由⑤ 牧草がおいしくない
うさぎはとても嗅覚が鋭い動物。
ウサギさんが自分で下に落とした草を、もう一度牧草いれに入れてもほとんど食べません。また、湿気などで品質が落ちた牧草は食べなくなります。
少しもったいない気がするのはわかります。しかし牧草はある程度は捨てるもの、と思っておいた方がいいです。
食べてくれないなら、牧草を変えてみるのも手です。
チモシー1番刈りにも、いろいろな種類がありますし、一番刈がどうしてもだめならオーツヘイなどにしてみたら食べてくれるかもしれません。
理由⑥ 牧草を食べ物だと認識していない
なかなか手ごわいのがこれ。
小さい頃に牧草を食べる機会が少なかった子は、牧草を「食べ物」と思っていないことも。
こうなると根気が必要ですが、少しずつ牧草の存在に慣れさせていきましょう。
飼い主さんの心構えが大切
愛うさぎさんが、前手を膝にかけてきて、キラッキラの目で、「ちょーだい💕」
そんなふうに見つめられると、ついおやつやペレットをあげたくなりますよね…
一緒に暮らしている期間が長いほど、どんどんおねだり上手なウサギになっていきます。
うさぎさんはおねだり上手になるだけでなく、自分が一番かわいそうに見える仕草も習得し、月日を重ねて飼い主さんを自在にコントロールするコツをつかんでいくようになります。
(あまりにもストイックな飼い主さんはうさぎさんも疲れてしまいますが、)ウサギさんの健康のためには時に「心を鬼にする」必要もあります。
これは、我慢をしてもらわないといけないときの、私たち飼い主の心構えについてです。
必要な心構え
- ペレットを減らすときは謝らない
- ダイエットやブラッシングも、健康のための必要なケア
- うさぎのために自信を持って対応する
ペレットを減すとき、回数を減らすとき、ブラッシングや爪切りなどのウサギさんにとっては”嫌”なことをするとき、いかにも自分がかわいそうな子みたいな顔をしている愛うさちゃんを前にして
無意識にも「ごめんねー」と謝っていませんか。
うさぎさんは飼い主さんの言葉のニュアンスは理解していますよね。
うさぎさんは謝られると、「どうして謝るようなことをするの?」と思います。
飼い主さん自身にとっても申し訳ないことをしているという感覚が刷り込まれるため、続きません。
うさぎさんとの良好な関係性を保つためにも、やるときは、謝らない。
爪切り、ダイエット、ブラッシング、お風呂などなど、、、これは申し訳ないことをしているのではありません。
うさぎさんのためにやっているんです。
ならば「必要なことだからしている」くらいの気持ちを持ってください。
うさぎが怒っても、おねだりしてきても、被害者みたいな顔をしていても、大丈夫。あなたが申し訳なさを感じる必要はありません。
うさぎさんのためにやっているならば、自信をもってやってください。
ウサギさんの健康を保つのは飼い主さんの役目です。
まとめ
「牧草を食べてくれない…」は、うさぎ飼育の悩みNo.1といえます。
この記事で紹介した原因と対策を参考に、できることから一つずつ試してみてください。
少しでも牧草を食べたら、たくさん褒めて、感激する言葉をかけてあげましょう。
健康的に牧草を食べる習慣を、焦らずゆっくり身につけていけると良いですね。
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