ウサギは不正咬合、胃腸うっ滞、ストレスや様々な病気が原因で、食欲がなくなってしまうことがありますよね。
ウサギさんの食欲不振の時、気を付けないといけないことがあります。
太っているウサギさんは特に注意!です。
この記事は強制給餌が必要である理由がよくわかる記事になっています。
食欲不振について
ウサギの食欲不振を大きくわけると、物理的な閉塞、不正咬合、消化管運動の低下(うっ滞)に分かれます。
このなかでは物理的な閉塞のほうがとても緊急性が高いですが、ここではうっ滞について示します。
食欲に影響する臼歯不正咬合と、よくある物理的閉塞の一つである急性胃拡張についてはこちら↓
うっ滞の原因は、様々なストレスです。
ストレスとひとくちにいっても原因は様々。
単なる気温の変化、気圧の変化、引っ越しなどの環境面のものがほとんどですが、別の病気(肝臓悪い、腎臓悪い、心臓悪いなどなど)による気分の悪さもストレスに入ります。
ストレスがかかると、アドレナリンがかかわる交感神経が優勢になって、消化管を動かす副交感神経の機能が落ちてしまいます。
消化管の動きにはリラックスにかかわる副交感神経の働きが必要なため、アドレナリンで興奮しぱなだと、消化管が動けず、ご飯食べない、うんこでない、元気ない、うっ滞となってしまいます。
食欲不振の裏側で起こっていること。
ウサギさんが通常通りご飯を食べているときのエネルギーの供給源は、盲腸と胃での盲腸便の発酵による揮発性脂肪酸(VFA)と、小腸から吸収される栄養がメインです。
しかし、食欲不振になり、食べ物からの栄養が供給されない状態になると、今まで体に蓄えてきた脂肪からエネルギーを得ようとします。
体中の脂肪を分解すると、中性脂肪になります。
そしてその中性脂肪をエネルギーに変えるのは肝臓です。
一気に肝臓へ中性脂肪が供給されるため、肝臓には多大な負荷がかかります。
処理しきれない量の中性脂肪であるため、肝臓にこれらが蓄積し、”脂肪肝”と呼ばれる病態になります。
エネルギー供給が、全身の脂肪によってまかなわれている際に血液検査をすると、中性脂肪(TG)が高値になっているはずです。
そしてさらに、実際に肝臓に傷害が出ている場合や、その状態が長く続いている場合は脂肪肝となっており、肝臓の数値も上がってきます。
肝機能が低下→気持ち悪くて食べない→さらに肝臓を痛める(肝リピドーシス)
という負のサイクルに突入してしまいます。
これらを防ぐために、食欲不振になったら行うのが強制給餌というわけです。
つまり、ずっと食べないと、肝臓を傷めてしまい、さらに食べなくなってしまうということです。
肝臓を傷めた場合の食欲不振は結構長く続いてしまいますので、注意です。
ちなみに、『猫は3日食べないと死ぬ』と言われている理由もこれです。
強制給餌の役割
以上より、強制給餌には、エネルギー不足を防いで肝機能低下を防ぐ役割があります。
また、実際におなかを動かして消化管に刺激を与えるという効果も。
強制給餌をしてはいけないタイミング
しかし、強制給餌をしてはいけない場合もあるため、行うのであれば獣医師の判断のもと行ってください。
やってはいけないのは、消化管の物理的な閉塞が疑われるとき、また、便が少ない時などです。
こういう時にやってしまうと、おなかが張ってしまい、逆効果。かなりしんどくなってしまいます。
実際わたしの病院で行う強制給餌は、獣医師がお腹を触診してどのくらい入りそうかを確認し、量を決めています。
なので、自宅でやる場合はそこまではできなくても、量は獣医師にしっかり確認しておいた方がいいです。
しかし決められた量だとしても本人の口が動かなくなればストップします。
また強制給餌に関しては、別の記事でまとめますね。
まとめ
食欲不振のとき、強制給餌が必要な一番の理由は、エネルギー不足により肝臓を傷めて、さらなる食欲不振を防ぐことにあります。
食べない時間が長くつづき、肝臓を傷めるとかなり厄介です。肝臓の修復まで食欲不振が長引くことになります。
強制給餌は単なるうっ滞に対してはよいのですが、物理的な閉塞が疑われているときなどは要注意です。
量はしっかり確認を!
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